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「いってー!!ごめんごめん、冗談っ。沙夜ちゃん、今のは忘れてね?」
俺が殴ったあたりをさすりながら廉は慌ててそう言った。
沙夜は苦笑しながらもうなずく。
「…じゃあ、俺もチラシをコピーしてもらいに行ってこよーっと」
そのまま、逃げるように俺と沙夜のところから去っていく廉。
ただ、廉が描いていた紙はここにあるんだけどな。
俺は机の上に置いたままの廉が描いたチラシを手に取る。
「なに、それ?」
「あ?これ廉が言ってたチラシ」
「忘れてったの?」
「みたいだな」
チラシには俺たちのクラスの喫茶店を大々的に宣伝するような内容は無く、教室の雰囲気を描いてあるだけだった。
…せめて場所は書けよな。
そうつっこむのは当然。
廉は喫茶店とは書いてあるものの、何階のどのクラスでやるのかも書いていなかった。
「東條って意外とドジなんだね」
後ろからチラシを覗き込んでいた沙夜も同じことを思ったのか、そんなことを言う。
「や、廉はバカ」
「あんたといると、東條のが頭よく見えるけど?」
笑顔を含みながらそう言われ、むっとした。
けど、これが普段の沙夜だ。
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