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沙夜は、俺がキスしたことをどう思ったんだろう。
あまりにも普通に接していたからそう、疑問に思えて仕方がなかった。
「うっせーな。俺はこう見えて頭いいから」
「へー」
適当な返事に、俺は沙夜の頭を軽くこづいた。
沙夜もやり返してこようとして、それを俺が片手で容易に受け止める。
…こんなに腕、細かったか?
「沙夜ー。5組の松本君が呼んでるよー」
竹村の次は沙夜だ。
名前を呼ばれて沙夜が返事をする。
「じゃ」
「おう」
教室の出入り口の方まで歩いて行く沙夜を目線で追った。
…5組の松本君?
松本?
沙夜を視線で追った先には一度だけ見たことのある、沙夜と竹村の幼なじみとかいう奴が立っていた。
松本晴希、だっけ。
沙夜に何の用があるんだよ。
苛々を発散させる場所も無く、俺は乱暴に椅子へ座った。
その音に驚いたクラスメート数人がこっちを見たが、気にせず俺は窓の外へと視線をうつす。
「…なんだあれ。メイド?」
学校にメイド姿という、不自然な格好をしている女、数人に視線が留まる。
じっと見ているとメイド姿の女も俺に気づいたらしい。
「あー!!将弥くーんっ」
3階にいるというのにはっきりと聞こえてきた女の声。
その声はなんだか聞き覚えがあった。
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