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一通りまわり、俺たちは自分たちの学年の階へと戻ってきた。
あと、まわっていないところといえば2組のメイド喫茶と5組のお化け屋敷だけだ。
「そろそろ2年の文化祭、終わっちゃうよ~」
寂しそうに竹村が言う。
そうだよな。
何も気にせずに文化祭を思いっきり楽しめるのは今年が最後か。
竹村の言葉を聞いて、俺はそんなことを思った。
「……」
「ん?どーしたの?沙夜」
2組の教室の前を通ったときにふと、沙夜が立ち止まった。
俺らも一緒に立ち止まって竹村が声をかける。
「…いないな、と思って」
ぽつり、と沙夜はつぶやくように言った。
沙夜は教室の中を見渡して少しだけ悲しそうな顔をする。
「誰が?」
「わー、メイドだらけだ」
そう、問いながら教室を覗く俺とそのまんまの感想を口にする廉。
2組の教室内は見事にメイドだらけだった。
ひらひらしたレースが敷いてあるテーブルに乙女っぽいBGM。
「この前友達になった子」
「ふーん」
竹村以外にも、沙夜が気にかけるような友達がいたということに俺は若干驚いた。
けして、口には出さなかったが。
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