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教室を覗いていると、ある人物が視界に入ってきた。
その姿を見て俺は一歩後ろへと下がる。
「将弥…」
「…ああ」
廉も其奴に気づいたらしく、俺の方を向きながら嫌そうな顔をしていた。
できることならば相手に気づかれないまま、この場を去りたい。
「あ、将弥くんだっ!」
そんな俺の願いは虚しくも叶わず、俺に気づいたメイド服を身にまとった女が笑顔で寄ってくる。
明らかに嫌な顔をして俺と廉は顔を見合わせた。
「あはっ☆来てくれたんだね!中、入ってよ~」
半ば強引に、俺と廉は教室へと引きずり込まれていく。
「「………」」
そんな様子を無言のまま見ている2人。
竹村は喋るタイミングも失い、ただぽかんと見ているだけ。
沙夜はというと。
珍しく感情を表した表情をしていた。
たまに見る、笑顔だとか冷めているだとかそういうのではない。
怒りを含む目で女のことを見ていた。
正確に言うならば睨んでいたのかもしれない。
「…おい、待て」
俺はなんとか女の手をふりほどき、口を開く。
「えーなあに?照れてるの~?」
「坂井。俺、連れいるから。それじゃ」
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