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明らかに落ち込んでいる様子に、竹村は明るく元気づけようと声をかけていた。
「大丈夫だよー、沙夜。そんなことで自殺とかしちゃうような子じゃなかったでしょ?」
俺と廉は黙って2人を眺めていた。
竹村でも、そんなことを言って慰めることができるんだな、と感心しながら…。
「…うん。死なないと思う。身体は、ね」
にこっと、沙夜らしくない笑みを見せる。
意味深な言葉を残したにも関わらず、竹村は気にしない様子で笑顔だった。
「杏ちゃんも会ったことあるの?松本って子の好きな子」
「え?ないよー」
いつものような、廉と竹村の会話が再開された。
もう、さっきの怒った様子は微塵も感じさせない竹村。
この切り替えはすげえと思うよ、俺は。
「じゃあなんで“自殺するような子じゃない”って言ったの?」
「んーと、なんとなく!」
…。
さっきの言葉はなんとなく浮かんだことを言っただけで、深い意味はなかったってことか。
そういう奴だよな、竹村は。
「ね、クレープ屋さん行って教室戻ろー!」
そんな自由気ままな竹村の発言に沙夜も賛成する。
時間も時間だった。
そろそろ文化祭が終わる。
先に歩き出していた竹村と廉、沙夜のことを眺めながら俺も歩きだした。
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