告白 .

21/21
前へ
/71ページ
次へ
明らかに落ち込んでいる様子に、竹村は明るく元気づけようと声をかけていた。 「大丈夫だよー、沙夜。そんなことで自殺とかしちゃうような子じゃなかったでしょ?」 俺と廉は黙って2人を眺めていた。 竹村でも、そんなことを言って慰めることができるんだな、と感心しながら…。 「…うん。死なないと思う。身体は、ね」 にこっと、沙夜らしくない笑みを見せる。 意味深な言葉を残したにも関わらず、竹村は気にしない様子で笑顔だった。 「杏ちゃんも会ったことあるの?松本って子の好きな子」 「え?ないよー」 いつものような、廉と竹村の会話が再開された。 もう、さっきの怒った様子は微塵も感じさせない竹村。 この切り替えはすげえと思うよ、俺は。 「じゃあなんで“自殺するような子じゃない”って言ったの?」 「んーと、なんとなく!」 …。 さっきの言葉はなんとなく浮かんだことを言っただけで、深い意味はなかったってことか。 そういう奴だよな、竹村は。 「ね、クレープ屋さん行って教室戻ろー!」 そんな自由気ままな竹村の発言に沙夜も賛成する。 時間も時間だった。 そろそろ文化祭が終わる。 先に歩き出していた竹村と廉、沙夜のことを眺めながら俺も歩きだした。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加