381人が本棚に入れています
本棚に追加
見定めるように鋭く、そしてどこか諦めたようにヘラリと薄く笑う渚。
多分渚は限界だったんだ。
強いと思っていた心は俺の勝手な推測で、ただの思い込みでしかなくて。
そんな渚に俺は甘えてただけだ。
何も、わかってなかった。
そう、何も…。
「…証明してあげる」
だったら証明しよう。
渚が納得のいくように。
「ハハッ。どーやってですか?」
そんなの無理だ、とでも言うように渇いた笑いを零す渚。
「言ったよね?
俺は渚しか要らないって」
「そうですけど…」
「今からそれを、証明する」
困惑する渚に構わず腕をグイッと掴む。
「え?ちょ…っ!」
「向日葵。悪いけど1人で帰って」
ポカーンと呆気に取られたように立ち竦む向日葵に一言言い残し、
「ほら、行くよ」
「えぇっ!?何処にですか!?」
「来ればわかる」
戸惑う渚の手を引き、俺は歩き出した。
.
最初のコメントを投稿しよう!