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屋上の扉がしまった所で、太郎は左胸からケータイを外し、ケータイドーピングを解除した。
「お疲れ様です太郎」
「これ使うと筋肉痛になるから、あんまり使いたくなかったんだよ」
太郎は天馬にそう言って、深く溜め息をついた。
「でも太郎君、かっこよかったよ♪」
「そっ、そうかな?ははは」
木実に褒められて、太郎は照れ笑いをした。
その直後、
「ちょい待ちぃな!」
突如屋上に美花の声が響いた。
「どうかしたか?」
「『どうかしたか?』じゃないやろ鷹見!あの普通人の異常な動きはなんやねんな!?」
「えっ!?あぁ!アレは……」
太郎が何か言い訳しようと喋り出したその時、主人を失った蜂達が美花の大声に反応して、美花に襲いかかって来た。
「うわぁ!嫌やぁぁぁぁぁぁ!!!」
そう言って美花は両腕で体をかばった。
「神崎さん!!」
「くそっ!!」
天馬と太郎がそう言って美花に駆け寄ろうとしたが、2人より先に力蔵が動いた。
グササササササッ!
次の瞬間、美花をかばった力蔵の背中に大量の蜂の毒針が突き刺さった。
「たっ、鷹見……なんでウチをかばって……」
「何言ってんだよ神崎。俺達もう友達だろ?」
そう言って力蔵は、背中に刺さった蜂達を何事もなかったかのように払い除けた。
「おい力蔵!なんともねーのか!?」
「あぁ。ちょっと痒いくらいだ!ハハハ!」
そう言って力蔵は笑った。
「ホントに大丈夫なのかな力蔵君?」
「あの蜂は間違いなく毒性の強い『スズメバチ』です。普通なら死んでるはずですが……」
そう言って天馬は、プルプルと震える指でメガネをクィッと上げた。
「あっ、あの鷹見!」
美花が大きな声で力蔵を呼んだ。
「んっ?なんだ?」
「その……あっ、ありがとうな!……ポッ」
「『ポッ』!?見たか天馬!?今神崎『ポッ』ってなったぞ!?」
「またややこしくなりそうですね」
「ふふっ♪2年生も楽しくなりそうだね♪」
太郎と天馬が溜め息をつく中、木実は楽しそうに微笑んだ。
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