第1話.戦うおてんば大阪娘

13/13
35668人が本棚に入れています
本棚に追加
/609ページ
屋上の扉がしまった所で、太郎は左胸からケータイを外し、ケータイドーピングを解除した。 「お疲れ様です太郎」 「これ使うと筋肉痛になるから、あんまり使いたくなかったんだよ」 太郎は天馬にそう言って、深く溜め息をついた。 「でも太郎君、かっこよかったよ♪」 「そっ、そうかな?ははは」 木実に褒められて、太郎は照れ笑いをした。 その直後、 「ちょい待ちぃな!」 突如屋上に美花の声が響いた。 「どうかしたか?」 「『どうかしたか?』じゃないやろ鷹見!あの普通人の異常な動きはなんやねんな!?」 「えっ!?あぁ!アレは……」 太郎が何か言い訳しようと喋り出したその時、主人を失った蜂達が美花の大声に反応して、美花に襲いかかって来た。 「うわぁ!嫌やぁぁぁぁぁぁ!!!」 そう言って美花は両腕で体をかばった。 「神崎さん!!」 「くそっ!!」 天馬と太郎がそう言って美花に駆け寄ろうとしたが、2人より先に力蔵が動いた。 グササササササッ! 次の瞬間、美花をかばった力蔵の背中に大量の蜂の毒針が突き刺さった。 「たっ、鷹見……なんでウチをかばって……」 「何言ってんだよ神崎。俺達もう友達だろ?」 そう言って力蔵は、背中に刺さった蜂達を何事もなかったかのように払い除けた。 「おい力蔵!なんともねーのか!?」 「あぁ。ちょっと痒いくらいだ!ハハハ!」 そう言って力蔵は笑った。 「ホントに大丈夫なのかな力蔵君?」 「あの蜂は間違いなく毒性の強い『スズメバチ』です。普通なら死んでるはずですが……」 そう言って天馬は、プルプルと震える指でメガネをクィッと上げた。 「あっ、あの鷹見!」 美花が大きな声で力蔵を呼んだ。 「んっ?なんだ?」 「その……あっ、ありがとうな!……ポッ」 「『ポッ』!?見たか天馬!?今神崎『ポッ』ってなったぞ!?」 「またややこしくなりそうですね」 「ふふっ♪2年生も楽しくなりそうだね♪」 太郎と天馬が溜め息をつく中、木実は楽しそうに微笑んだ。
/609ページ

最初のコメントを投稿しよう!