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今、太郎と木実はリビングのソファーでテーブルを挟んで向かい合って座っている。
《こっ、木実ちゃんが俺ん家に……なんか緊張するなぁ》
そう思って太郎は、1人でドキドキしていた。
すると、
「太郎君♪実は家にこんなのが届いたんだぁ♪」
木実がそう言って、手紙のような物を差し出してきた。
「えっ?これってまさか……ラブレター!?!?」
そう言って太郎は、顔を真っ青にして硬直した。
「あはは♪違うよ太郎君♪中を見ればわかるよ♪」
「そうなの?よかった~」
そう言って太郎は、安堵の溜め息をついてから手紙の中身を読み出した。
【どうもお嬢ちゃん。元気にやってるか?
ワシの島は今すっごい暇だから、よければ遊びに来んさいな。キャンプ道具とかタダで貸してあげるから。】
この手紙と共に、モジャモジャとした毛が同封されていた。
「これってもしかして……」
「うん♪去年の無人島のモジャモジャからだよ~♪」
木実は太郎に向かって、嬉しそうにそう言った。
ちなみにモジャモジャとは、無人島(無人島体験島)でキャンプ道具などの貸し出しをして暮らしていた、体のほとんどをモジャモジャした毛が占めているオッサンの事である。
「てかなんでモジャモジャ木実ちゃん家の住所知ってんの?」
「あぁ♪無人島の帰りの船待ってる時に聞かれたんだ~♪」
《あんの変態毛玉野郎!!》
太郎はモジャモジャに殺意を覚えた。
「ねぇ太郎君♪せっかくだし行ってみない?タダなんだし♪」
木実はそう言って微笑んだ。
《う~ん、あんまり気が乗らないなぁ……。あっ、でも無人島に行ってモジャモジャさえ追い払えれば、木実ちゃんと2人きりでキャンプが……》
そう考えた太郎は、木実とのキャンプを妄想してヘラヘラと笑った。
「……で、どうするの太郎君?」
「うっ、うん!それじゃあ行ってみようか?」
「やったー♪♪」
太郎がそう答えると、木実は嬉しそうにバンザイをした。
「それじゃあ皆にも連絡しとくね♪♪」
「あっ、やっぱりそうなる訳ね……」
木実の言葉に、太郎はそう呟いて肩を落とした。
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