第2話.新入生は冷血美少女!?

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翌朝、太郎はいつもの通学路を眠そうに目を擦りながら歩いていた。 「いてて、やっぱ筋肉痛になってるよ……」 そう言って太郎は溜め息をついた。 すると、太郎の背後にバイクの音が近づいて来た。 「よう普通人!昨日ぶりやな!」 「うえっ!?おっ、神崎か!」 バイクの主は美花だった。 「てかなんだよそのバイク……」 そう言う太郎の目線の先には、無駄に装飾品の付いている原付スクーターがあった。 「うっさいな!ウチかてかっこええバイクに乗りたいわ!せやけど今の歳やと原チャリが限界なんや!」 そう言って美花は怒って頬を膨らませた。 「あっ、ヤバイな!遅刻すんで!」 「嘘っ?」 太郎は急いでケータイで時間を確認した。 「マジじゃん!神崎!乗せてくれ!」 「アホ言え!このヒーローバイクに乗れるんわウチだけや!ほな頑張りや!」 そう言うと美花は、太郎をほったらかして走り去った。 「くそっ!人でなしめーーー!!!」 そう叫びながら太郎は、筋肉痛を我慢しながら走り出した。 キーンコーンカーンコーン チャイムが鳴ると同時に、太郎は教室の扉を開けた。 「ギリギリセーフだな太郎!」 「もっと早く家を出ないと駄目だよ太郎君!」 「ごっ、ごめんよ木実ちゃん」 太郎は怒る木実を、なだめるように謝った。 「それにしてもよう間に合ったなぁ普通人」 「あぁ、お陰様でな!」 太郎は嫌味っぽく美花に言った。 「てか俺は普通人じゃない!鈴木太郎だ!」 「そう言えば自己紹介してなかったね♪秋野木実です♪」 「僕は伊集院天馬です」 「俺は鷹見力蔵だ。よろしくな神崎!」 「『神崎』なんてやめてぇな力蔵♪『美花』でええよ♪」 そう言って美花は、力蔵の腕にしがみついた。 「そうか。よろしくな美花!」 「よろしく力蔵~♪」 「ハハハ。大胆ですね美花ちゃん」 「気安く呼ぶなやアホメガネ!」 美花の言葉で天馬は一蹴されてしまった。 「おい天馬、俺らは『神崎』で通した方が良さそうだな」 「そっ、そうですね太郎……」 今まで女性に罵声を浴びせられた事のない天馬にとって、今の美花の言葉は大分堪えたようだ。
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