プロローグ

2/2
35668人が本棚に入れています
本棚に追加
/609ページ
ピピピピピッ 「う~……んあっ!?ヤベェ!!今日から学校じゃん!!」 目覚ましを見るなり、彼はそう叫んでベッドから飛び起きた。 すぐさま制服に着替え、ケータイをポケットに入れ、カバンを左手に、朝食のオニギリを右手に持ち家を飛び出した。 そんな彼の名前は鈴木太郎(スズキタロウ)。何処にでもいる普通の高校生以上に普通の高校生だ。 「よう太郎!朝から元気だなぁ!ぶははっ!」 「何呑気に笑ってんだよ!?遅刻すんぞ!」 太郎を見るなり笑ってきた少しチャラチャラした格好の彼の名前は、飯塚次郎(イイヅカジロウ)。とにかく笑う事が大好きな太郎の中学からの親友である。 「うぉ~い!太郎次郎~!!」 『続けて呼ぶな!!』 太郎と次郎は同時に言った。 いきなり2人を怒らせた彼の名前は鷹見力蔵(タカミリキゾウ)。炎のようにうねった髪型に加え、2m近い身長に怖い顔を持つ男だ。だが中身は、ただの馬鹿である。 「ちょっと皆急いでよ~!新学期早々遅刻しちゃうよ~!」 走る3人の視線の先で、1人の女性がそう言って怒っている。 彼女の名前は秋野木実(アキノコノミ)。黒く長いストレートの綺麗な髪に、おっとりした可愛い容姿を持つ美人だが、かなりの天然の持ち主であると同時に、太郎の彼女でもある。 「ゴメン木実ちゃん!」 「いいから急ぐよ!アベッ!」 木実は急ごうと走り出した瞬間、犬のフンを踏んで豪快に転んだ。 「木実ちゃん!大丈…」 「大丈夫ですか木実ちゃん」 太郎が木実を助けるより先に、メガネをかけた青年が木実を起こした。 彼の名前は伊集院天馬(イジュウインテンマ)。爽やかなイケメンメガネな上に、IQは200もあり、さらに大手電機メーカー『SOMY』の御曹子でもあるパーフェクトな青年だ。だが、機械を見ると分解せずにはいられなくなるという、機械オタクな一面を隠し持っている。 「天馬、そこは俺の役目だろ?」 太郎はボソボソと天馬に言った。 「いちいちヤキモチ妬かないでくださいよ太郎。さぁ、急がないと遅刻しますよ」 「そーだよ!早く行こう!」 「始業式なんていちいちしなくてもいいのにな~」 そう言って力蔵が溜め息をついた。 「うだうだ言っても仕方ねーや!行こうぜ!」 次郎の一言で、5人は学校に向けて走り出した。
/609ページ

最初のコメントを投稿しよう!