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「ところで、あの先輩はほっといていいんスか?」
澪がそう言って指差した先には、顔に茶色い物体がこびりついた状態で気絶している次郎の姿があった。
「じっ!次郎!大丈夫かぁ~!」
太郎を筆頭に、全員が次郎に駆け寄った。
「澪ちゃんは俺が守~る……」
次郎は意識のない中でそう呟いていた。
「ふぅ。全く人騒がせな告白でしたね」
「てか次郎の顔、ウ〇コくせぇぞ!ハハハ!」
「そう言う力蔵の手もウ〇コ臭いぞ」
「えっ?」
太郎の一言で、力蔵は自分の手が茶色い事にようやく気づき、顔を真っ青にした。
その一方で木実は、『靴の裏が綺麗になった』と喜んでいた。
《何なんだろうあの人達は……》
澪は少し離れた所で、そう考えながら子供のように騒ぐ太郎達を見ていた。
「おーい澪!お前も次郎の顔に落書きするか?」
手を洗って来た力蔵が、油性マジックを手にしながら澪に尋ねた。
「……はい。散々迷惑かけられたんで、やらせてもらうっス」
そう言った澪の顔は、自分でも気づかないうちに笑顔になっていた。
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