第3話.男だけの昼休み

4/25
35669人が本棚に入れています
本棚に追加
/609ページ
数分後、次郎が顔に青アザを作って戻って来た。 「どうしたんだよ次郎その顔!?」 「ちょっとばかりしくじっちまってな。だが収穫はあったぜ!」 そう言って次郎は、自分のケータイの写メを見せた。 するとそこには、バレンタインの時に次郎にハイキックを浴びせた柚菜(ユナ)が、拳を振り上げた姿が写っていた。 「なるほど。この写メ撮った後、その顔のアザが生まれた訳っスね」 そう言って澪が呆れた顔をした。 「さぁ太郎!変身してくれ!」 「……はぁ!?」 次郎の一言に、太郎は訳がわからず混乱した。 「次郎、まさかキミはその為に青アザを?」 「まぁな。あの化物女、顔は結構美人だしな!あれて性格が太郎くらい普通ならいい感じだと思わねぇか?」 そう言って次郎は、1人でニタニタと笑った。 「てか次郎!お前俺に変身させて何をする気だよ!?」 「決まってるじゃないか太郎~。ちょっくら女性の体という物を調べてみたいなぁと……ヘヘへ」 そう言った次郎に、太郎は一気に背筋が凍りついた。 「絶対嫌だぞ俺は!先生も黙ってないで、この変態な弟止めてくれよ!!」 「いやぁ、先生は弟の努力を無駄にするのは、いけない事だと思うんだよなぁ~」 そういいながらも、一郎は気持ち悪い顔でニヤニヤしている。 「くそっ!所詮は次郎の兄貴か!力蔵!助けてくれー!」 そう言って太郎は、力蔵の背中に回りこんだ。 「どうした太郎?」 「どうしたって話聞いてなかったのか!?あの変態兄弟が、俺を女に変身させて、なんかやらしい事するつもりなんだよ!」 「やっ!やらしい事!?ぶほぉ!!」 迂濶にもやらしい事を想像してしまった力蔵は、大量の鼻血を噴いて倒れた。 「りっ!力蔵!しっかりしろ!お前どんだけウブなんだよ!!」 太郎がそう言って力蔵を揺さぶっている間も、変態兄弟はニヤニヤしながら太郎に近づいて来る。 「てっ、天馬ぁ~!」 太郎はすかさず天馬に助けを求めた。だが、 「まぁ、思春期ですからね……」 そう言って天馬はメガネをクイッと上げながらも、顔をほのかに赤く染めている。 「ちゃっかり期待してんじゃねーよムッツリメガネがぁ!!」 そう叫んで、太郎は涙目になりながら最後の希望である澪に助けを求めた。
/609ページ

最初のコメントを投稿しよう!