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数分後、次郎が顔に青アザを作って戻って来た。
「どうしたんだよ次郎その顔!?」
「ちょっとばかりしくじっちまってな。だが収穫はあったぜ!」
そう言って次郎は、自分のケータイの写メを見せた。
するとそこには、バレンタインの時に次郎にハイキックを浴びせた柚菜(ユナ)が、拳を振り上げた姿が写っていた。
「なるほど。この写メ撮った後、その顔のアザが生まれた訳っスね」
そう言って澪が呆れた顔をした。
「さぁ太郎!変身してくれ!」
「……はぁ!?」
次郎の一言に、太郎は訳がわからず混乱した。
「次郎、まさかキミはその為に青アザを?」
「まぁな。あの化物女、顔は結構美人だしな!あれて性格が太郎くらい普通ならいい感じだと思わねぇか?」
そう言って次郎は、1人でニタニタと笑った。
「てか次郎!お前俺に変身させて何をする気だよ!?」
「決まってるじゃないか太郎~。ちょっくら女性の体という物を調べてみたいなぁと……ヘヘへ」
そう言った次郎に、太郎は一気に背筋が凍りついた。
「絶対嫌だぞ俺は!先生も黙ってないで、この変態な弟止めてくれよ!!」
「いやぁ、先生は弟の努力を無駄にするのは、いけない事だと思うんだよなぁ~」
そういいながらも、一郎は気持ち悪い顔でニヤニヤしている。
「くそっ!所詮は次郎の兄貴か!力蔵!助けてくれー!」
そう言って太郎は、力蔵の背中に回りこんだ。
「どうした太郎?」
「どうしたって話聞いてなかったのか!?あの変態兄弟が、俺を女に変身させて、なんかやらしい事するつもりなんだよ!」
「やっ!やらしい事!?ぶほぉ!!」
迂濶にもやらしい事を想像してしまった力蔵は、大量の鼻血を噴いて倒れた。
「りっ!力蔵!しっかりしろ!お前どんだけウブなんだよ!!」
太郎がそう言って力蔵を揺さぶっている間も、変態兄弟はニヤニヤしながら太郎に近づいて来る。
「てっ、天馬ぁ~!」
太郎はすかさず天馬に助けを求めた。だが、
「まぁ、思春期ですからね……」
そう言って天馬はメガネをクイッと上げながらも、顔をほのかに赤く染めている。
「ちゃっかり期待してんじゃねーよムッツリメガネがぁ!!」
そう叫んで、太郎は涙目になりながら最後の希望である澪に助けを求めた。
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