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「よぉ次郎!久しぶりだな!」
「久しぶりじゃねーよ兄貴!漫才師目指して東京に行ったんじゃなかったのかよ!?」
「それがコンビ解散しちゃってなぁ~。やむなく教師になったって訳だ!」
そう言って一郎はまた親指を立てた。
「よろしくじゃねーよ!あぁ~」
そう言って次郎は頭を抱え込んだ。
「おっと自己紹介の途中だったな!さっき聞いた通り、俺は次郎の兄貴だ!担当科目は数学だ!しかし、女子限定で保健の授業も受け付けるぞ!」
一郎のその言葉に、教室内は笑いに包まれた。
「いい兄貴じゃねーか次郎!いいな~」
すぐさま力蔵が、前の席の次郎に言った。
「よくねーよ!担任が兄貴なんて最低だよ~」
「そう気を落とすなって次郎!もしかしたらテストやばくても単位貰えるかも知んねーぞ?」
次郎の前の席の太郎が振り返り、次郎にそう言ったが、次郎は反応せずに頭を抱えたまま唸っていた。
キーンコーンカーンコーン
「おっと!もう終わりか!そんじゃあ皆、また明日な!」
そう言って一郎は次郎にウインクして、教室を出ていった。
今日は学校はこれで終わりだ。
帰り際に皆が次郎に『面白いお兄さんだね』と言って帰って行った。
教室内はすぐにいつもの5人だけになった。
「う~、悪夢だぁ~」
次郎は相変わらず唸り続けている。
すると突然唸り声が止み、机をバンと叩いて次郎が立ち上がった。
「俺は話をつけてくる!皆は先に帰っててくれ!」
次郎はそう言うと、すぐさま教室を出ていった。
「何がそんなに嫌なのかな次郎君?」
「まぁ、家族の話に首は突っ込めないよ木実ちゃん。さぁ、帰ろっか」
そう言って太郎が立ち上がるのを、力蔵が腕を掴んで止めた。
「待てよ太郎!俺が告白されるのに付き合ってくんねーのか!?」
「あっ!」
一郎の登場により、太郎は力蔵が美花に屋上に呼び出されていた事をすっかり忘れていた。
「おや力蔵?告白されるんですか?」
女子に囲まれてた為に何も知らない天馬が尋ねた。
太郎は天馬に耳打ちして、力蔵の勘違いしている事を伝えた。
「なるほど。さすがは力蔵、ものすごい勘違いですね」
そう言って天馬が溜め息をつくと、力蔵の姿が見えない事に気づいた。
「あれ?力蔵は?」
「力蔵君なら屋上に行ったよ♪」
『えっ!?』
木実のその言葉に、太郎と天馬は額に手を当てて溜め息をついた。

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