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「京さんの時もそうだ!!皆のアイドル、神聖な京さんと気安く会話しやがって!!」
京もクラスの中ではかなり人気があった。腰まで伸ばした漆黒の髪を揺らしながら歩く姿は、クラスの男子を虜にしていた。
「そんなに京と話したきゃ話せばいいだろ・・・」
「それなのにお前は転校生まで独り占めするのか!!」
俺の話は聞いちゃいねぇ。
「おい、さっきは龍崎も居たじゃねぇか」
「煩い!!主に護さんと会話してたのはお前だろう!!」
「まぁそうだけどよ・・・護、なんか言ってやっ・・・」
─いねぇ!!
さっきまで自分の席にのほほんと座ってた護はいつのまにかいなくなっていた。京と龍崎もいなかった。
「くっ・・・」
この状況は良くない。護にこいつらを止めてもらおうと思ったが、その護がいなくなってはこの怒り狂った男子どもを止められない。
「ジュンよ・・・お前には死んでもらう・・・」
「随分と物騒なこと言うじゃねえか・・・」
これはヤバイ・・・俺の身が危ない。
「さぁジュン・・・覚悟はしたか?」
どうする・・・逃げるか?
「みんな、何しとるん?」
「はっ!!この声は?!」
「・・・助かった」
やっと救いの女神が現れた。
「護よ、こいつらに『やめて』と言うんだ」
俺は護の耳元で小声で指示を送った。
「ん?ん~・・・まぁええけど」
「頼む」
「おのれぇジュンめ!!まだ俺たちに見せつける気か!!」
「みんな、やめて」
見事な棒読みだった。
「イエッス!!」
しかし、効果は抜群だった。
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