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「今日はまたクラスに新しい人間が入る」
担任の今日の最初の一言はそれだった。
成程ね・・・嫌な予感はこれかな。
「はいりなさい」
担任に言われて、一人教室に入ってきた。
『おぉ~!!』
クラスの男子がみな声を漏らした。俺は違うが。
入ってきたのは可愛らしい女の子だった。真っ黒な髪を肩の辺りで切り揃えられ、目は大きく、くりっとしていて、『可愛い』と言う言葉がぴったりとあてはまっている娘だった。
「大阪から来ました亀宮 護(カメミヤ マモリ)です。よろしくお願いします。」
女の子は関西なまりだが、おっとりとした口調で挨拶をした。
クラスの男子の何人かは既に眼がハートだった。
いつもなら俺もそうなりかけていた筈なのだが、今回はそうならなかった。
嫌な予感が完全に俺の中で確信に変わっていた。
─嫌な予感の元は多分この子だ。
「では、亀宮は龍崎の隣の席についてくれ。龍崎も最近入ってきたやつだ。仲良くするといい」
「はい」
亀宮なる少女はトコトコと歩いて龍崎の隣に座った。
「では出席をとるぞー・・・」
「ジュン」
「なんだ、龍崎?」
龍崎が少し真剣な感じに聞いてきた。こいつも何かに気付いたのか?
「・・・大阪ってどこ?」
「お前に何か期待した俺が馬鹿だった!!」
「なに怒ってんのさ?」
「煩い!!」
「あんな~」
『えっ?』
急に誰かの声が話に割って入ってきた。
「大阪はな、三重の隣やねん・・・あれ?・・・名古屋の隣やったかなぁ?」
「・・・」
亀宮少女だった。
「あれ?どこやったかなぁ?」
ついでに言えばかなりの天然っぽい。
ちなみに大阪は京都の南で奈良の隣だ。ついでに名古屋は県じゃない。
まぁそのことは黙っとこう。
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