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何故
幼い頃には解らなかったけれど、成長するにつれ自然と解るようになったこと。
解るというよりも当たり前のことだと思い出すかのような、そんな感覚。
自分以外の人間にも感情はある。
例えば私がそれはそれは酷い、耳を塞ぎたくなるような暴言を誰かに吐いたとする。
そうすれば当然、言われた側の人間からしてみればそれは悲しく、辛く、次第に怒りを覚える。
私が痛いと感じることや怖いと感じることも、全く同じではないであろうが誰かも痛いと、怖いと、或いは全く違ったものを感じるかもしれない。
自分から始まり、親、その親、隣人、友達、たった今横を通り過ぎた人、テレビの向こうで笑顔を振り撒く芸能人…。
少しずつ広がっていた世界に、自分は今まで狭い中にいたのだと本能で気付く度に感情についてのそれは 知らぬ間に解っていくこと。
今日こうしてまた私が誰かを頭の中で愛し、殺め、憎み殺める瞬間にも…相手の頭の中には何らかのビジョンが浮かんでおり、もしかしたら同じように誰か(私かもしれない)を殺めている可能性だって多いにあり得る。
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