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紗衣「もう27だもんね!
お父さんとか
お母さんになっても
おかしくないよねっ」
紗衣はもう子供を
産める体ではない。
年が離れた弟がいたせいか、
紗衣は子供が大好きだったのに。
紗衣のための言葉が
見つからない。
紗衣「ごめんね…」
出てきたのはやっぱり
オレ自身を救う
言葉でしかなかった。
宗一郎「…いらないよ」
紗衣「え…?」
宗一郎「オレ、不器用だからさ。
子供は苦手なんだ」
紗衣「宗一郎…」
宗一郎「だからさ、
紗衣だけいればいいよ」
紗衣「わたし…?」
宗一郎「うん。
オレは紗衣だけいれば
それで十分だから」
オレの言葉を、
紗衣はどう受けとめたか。
それを知る術はない。
それでも紗衣は
小さな声でうん、と答えた。
そしてうっすらと
その目に浮かんだ涙を拭って、
またいつもの笑顔で
オレの腕を引いた。
紗衣「ちょっと来て!」
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