162人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
田「ん?どうしました、肩なんて落として・・・。」
誠「あっ、いえ。何でもないでス。」
俺は右手を左右に振り、作り笑いをした。
忍者もいない。
舞妓もいない。
日本って、侍の国じゃなかったのかよ。
なんて、死んでも言えない。
俺は口をもごもごさせ、玄関へと入った。
誠「<・・・キレイだ。>」
俺は目の前に広がる光景に、驚いた。
白の壁ではなく、木。
木造建築物に入った感じだった。
下駄箱の上にある生け花も、趣があり、美しかった。
誠「ドイツと全く違ウ。別の美しさがある。」
田「そう言われると、うれしいですね。」
信二さんは、照れたのか後頭部を軽くかいた。
靴を脱ぎ、家へとあがる。
スーツケースも、床を傷つけないように、抱えて運んだ。
信二さんは、ひいても大丈夫といってくれたが、申し訳ない。
こんな美しい家に、ウィールで傷をつけたくなかった。
誠「ここは寺ですカ?神社ですカ?」
田「アハハ。寺でも神社でもないよ。普通の一軒家。」
信二さんはそういって、一つの部屋へと案内してくれた。
ドイツみたいに、ドアノブがないドア。
父さんから教わったが、障子というドアらしい。
スライドドアと似ていると聞いたが、確かにスライドドアっぽかった。
信二さんは、ドアのくぼみに手をかけ、カラリと障子を開ける。
誠「・・・・??」
今までかいだ事のない匂いが、俺の鼻にツーンと来た。
最初のコメントを投稿しよう!