病気の迷信

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 医学会が「風邪は薬で治すものではない」と発表                 日本呼吸器学会は、平成15年6月20日発表の「呼吸器感染症に関するガイドライン」で「風邪は薬を使わず、自宅療養が有効である」と発表しました。大衆薬の風邪薬の広告に対しても「風邪に対する過剰な治療を推奨するかのような印象を与えている」と指摘しています。また「抗生物質は風邪には効かない。副作用や耐性菌の問題がある」「発熱は身体がウイルスと闘っている免疫反応である」「いかなる薬物にも副作用があるので、服用する場合は薬物名と量を記載しておくべきである」と述べています。医学会がこのような方針を発表することは珍しいことで、この内容は新聞記事にもなりました。 ただし、インフルエンザなどの39度以上の発熱の場合は、医療機関で受診したほうがよいとしていますが、インフルエンザなどで39度以上あっても自宅療養で自然治癒することがあります。薬を使えば症状は抑えられますが、病気そのものが治ったわけではなく、副作用も心配です。 このようなことは、何十年も前から医学でわかっていたことですが、なぜか発表されませんでした。また、医者が患者さんにどんなに正しい事実を説明しても、薬を求める人が多ければ医者も安易に薬を出すことにもなります。薬に対して不安や疑問を持つ人たちが増えてきたために、このような発表が行われたのかもしれません。風邪で安易に、解熱剤や抗生物質を患者さんに処方する医師が少なくなればよいのですが、今の保険医療制度では、短い診察時間で不必要な検索や不必要な薬を出し、不必要な手術をしなければ病院経営が成り立ちにくく、制度そのものがおかしいのです。
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