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「ありがとうね、昶くん」
「いえ、俺は…」
俺は、何もできてない。
お礼をもらうことできてない…
「おばさん、奏は…」
「…この子、いつも何も言わないの。問題なしって」
「問題なしって…ありなんじゃ…」
昶が聞くのと同時に、玄関から声がした。
「久世さん、藤崎です」
藤崎 玲貴、奏の主治医だ。
「先生、こっちです」
奏の母が誘導する。
俺がいては邪魔だろうとその場から離れた。
「奏…」
すごく心配で、守ってやりたくて、支えてやりたかった。
しばらくして、部屋のドアが開いた。
出て来たのは藤崎。
「昶くん、良いかな」
「…何ですか?」
藤崎の口から紡がれた言葉は、とても残酷な宣告だった。
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