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昼間の騒ぎのせいで散らばった備品や割れた花瓶などの回収、清掃を別の部署が引き受けていた。
すでに月の光が屋敷の窓から射し込んでいる。
数人いる中で二人組の作業員がいた。
二人は床の割れたガラスとゴミを分別しながら清掃をしているらしい。
一人の男性が年下の作業員に話をかけた。
「サイ、昼間のアレ。何だと思う?」
サイと呼ばれた男は
力のない返事をして、作業を続けていた。
「……ああ。ヴェンハさんが連れてきた女ですか?なんだと思います?」
オウム返しをくらい
あのなぁ。と男は息をついた。
「俺が聞いてんだよ。」
サイは顔を上げてきょとんとした。
「そうか。」
二人の目が合うとサイは視線を落とした。
「…ただ、ボクには解らないな。」
解決しない答えに男はため息をついて微笑した。
「そうだな。俺は…あの女が魔女なんじゃないかと思ったりして…な。」
一瞬驚いたように眉を上げたサイに
冗談だよ。と笑いながら肩をポンと叩いた。
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