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「ライドさん、どうしたんです?」
不思議そうに見つめるサイに、男もまた不思議そうな表情で独り言のように呟いた。
「ん―、これ薔薇みたいなんだ。薔薇の彫刻に血が入り込んでる…?拭き取るべきだよな。」
う―んと考えているライドをよそに、サイは明るい声で目をキラキラさせた。
「どんなのですか?見せてください。」
好奇心旺盛の少年のように軽い足取りで歩み寄ってくると、サイはしゃかんでいるライドの前で止まり、彫刻を見下ろした。
サイは彫刻を見るなり、思い出したように叫んだ。
「あ、そうだ!さっき仮停めしてた荷台、もうそろそろ回収されちゃうそうです。」
アワアワと身ぶり手振りでサイが伝えると
「もうそんな時間か!ちょっと荷物下ろしてくるよ!」
慌てた様子でライドが屋敷の出口の方へ走っていった。
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