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いつの間にか空気が重くなって、電気も消えていた。
ドアは閉めたはずなのに……
何故人が。
[――そうだね、先ずは右腕から頂戴しようかな……?]
明るい茶色の人影が近づいてくる。
カツ…カツ…と靴音を響かせて。
「いや…来ないで。」
私は恐怖のあまり、後退る。
しかし後ろは壁で逃げようがない。
ベッドから立ち上がり毛布を身体に巻いて壁に背中を付けた。
震えてしまってる…唇が肩が…
嫌だ…怖い。
何だろう
何だろう。
何がこんなにも恐ろしく思わせるのだろう。
[何で?もしかして、私は君を恐がらせてるのかな?]
人影は蔓延の笑みを浮かべて両手を広げた。
目だ。
目がヤケに据わっている。
冷静…違う何も映さない冷酷冷血な瞳だ。
「いや、止めて!」
ギュッと目を閉じて力の限り叫んだ。
「「来るな!!!」」
奴は私の手を掴もうとしたが、一緒動きが止まった。
…………………………。
数秒静止した後
影は何かを見つけたようにうなずいて見せた。
「―…あっちも、居るんだ。へぇ…。」
―あっち…?
なんのこと?
それに、さっき叫んだとき
私じゃない声も混ざってたような…
何なの?
何が起きてるの?
伸ばしてきた手を引っ込めるとまた笑いかけて影は消えた。
[フフ…また今度。]
………
―――――――――――
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