与えられた蝋印

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持ち主のいない引越し。 この屋敷の持ち主は イタリアに住む貴族 デヴォロチェ・サンルド 彼は、貴族制廃止になってもなかなか数々の屋敷を手放さずに逃げていた。 貴族が威張れる世間は終わった。 法律はかわってしまったのだ。 民間からの批判は強まるばかりで ついに彼はフィレンツェの屋敷を手放して消えてしまった。 亡くなったのだ。誰も亡骸は確認していないが…。 歴史あるフィレンツェの街で この屋敷の物はとても貴重であると判断された。 隠し持っていた数々の貴重品が次々に屋敷から運び出される。 どれも何世紀も前の物ばかり。 ゴツゴツした装飾の施された分厚い本も珍しくはない。 そんな物達が新本の前を過ぎていく。 目にするだけで緊張で冷や汗が出た。
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