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小十郎が言うには、俺の名前は伊達成実(しげざね)と言うらしい。
さっきの隻眼の男は従兄弟の政宗で城主で奥州筆頭なんだという。
意味分かんねー
記憶を無くした原因は頭を強打したことによるショックらしいが何故そんなことになったのかは分からない。
そのことについて、政宗の視線が泳いでいるように見えたのは気のせいだろうか。
いくら考えたところで、失った記憶がとっとと戻ってくるわけではない。
医者に、今は身体を治すことが優先だと言われ布団に横になっているように言われたが、一度目が覚めてしまうと目が冴えて眠ることが出来ずにいた俺は部屋の外に出て蒼空を見上げた。
「はぁ…天気がいいなぁ。」
雲一つ無い何処までも澄んだ高い空に鷹が一羽飛んでいる。
「!!ぶはっっ。」
一陣の強い風が吹き、顔面に向かって何かが飛んできた。
「…なんだこれ?大漁旗?」
手に取って広げてみると色鮮やかで派手な大漁旗だった。
何故こんな所に?と思っているとおーいと声がしてそっちを見てみると、リーゼント頭の男が走ってきた。
「そっちに旗飛んでいきやせんでしたかぁ~?って、成実様もう起きて大丈夫なんスか!?」
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