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「でーぶ、でーぶ。」
武男は、お腹のふくれたご婦人さんに、こう言うのです。
「でーぶ、でーぶ。」
公園で、武男よりも小さな子を遊ばせているご婦人さんは、さっきからこの調子でこう言われているものですから、すっかりまいってしまいました。
「違うの、坊や。お腹の中に、あかちゃんが入っているのよ。」
「でぶにはかわらないや、このでーぶ。」
武男はご婦人さんが困るのを見て、ますますたのしくなるのでした。
もちろんご婦人さんのお腹にはあかちゃんが入っていて、中でぐっすり眠っているのですが、武男はそれを知りません。
そして、ついに武男は、テレビに出てくる、戦隊ものの真似をして、思い切り──といっても子どもの、か弱い力ですが、それでも思い切り、ご婦人さんのお腹にパンチをいれました。
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