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~説明終了~
「ふむ。まぁお前にしてはいい処置をしたが、それでも感心しない」
アレンデが言っていることは、当然ナナを背負いながら戦ったことだ。
「ナナ。ごめんな」
ロイは先ほどの軽い気持ちの謝罪ではない、深い謝罪の意味を込めて言った。
「気にしてないよ。私こそ助けてくれてありがとう」
二人は笑い会う。それを見て、アレンデはため息をつく。
「ほら、ロイウェル。この短剣はやれないが、こいつをやる」
そういって、ロイが勝手に借りた短剣とは別の短剣を投げた。
「ん?おっと、なにこれ?」
「本当は入学祝いに、時期をあけて渡すつもりだったが今くれてやる。
名前は、そうだな……。
ナナリアでいいな」
ロイは
ナナリアかぁ……
と、呟きながら抜いて、軽く振っていた。舞い上がっているのが誰から見てもわかるほど目を輝かせていた。
ナナははっとして、言う。
「私の名前に近い……」
「ナナチルお嬢さんから考えたからな。このナナリアは、この短剣より出力をかなり押さえてあるから。今日みたいに戦えると思うなよ」
「えー?」
「その代わり、持久力をあげて、自動充填。要するに空気中の微々たる力を集めて、魔力をチャージするお前にうってつけの武器だ」
アレンデは自分の作った物を説明しながら自慢げに胸を張った。
しかしロイにはあまり伝わっていない。
一方ナナは高度な技術に卒倒しそうになっていた。
「ふーん。ありがとうおっさん」
「お前のあの技にも対応してて、一度や二度当てられてもしばらく使えるからな。
さて、村人に安全だって伝えに」
「アレンデ様……!」
老人の声が三人に届いた。
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