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しばらく歩いたところにそれはあった。
「ここが王立アルディナ学園か」
「王立……ロイってかなり優等生なの?」
ナナが驚いたように言う。
「ナナチルお嬢さん」
「ナナでいいですよ。アレンデ様」
「じゃあ僕もアレンデって呼んでくれ。ナナ、ロイがそんなに頭よく見えるか?魔法もできないのに」
「……見えます。アレンデさんの、あ、呼び捨ては流石にやめておきますね。
あの魔法をかき消しす魔法を見せてくれたし、体術すごかったし」
「「あーそれは……」」
二人は声を合わせて言う。ロイのあれは魔法じゃないことを知っているからだ。
魔法とは、思いを込めた現象である。
この世界と生命に宿る不可視ながらも感じることのできる力。マナ。
これらをある規則で変換することで魔法を放つことができる。
規則とは想像力。想像した物を放つことが魔法の基本。
ディスペルという魔法はある。本来の効果は、ある範囲に侵入してきた魔法をマナに逆変換する魔法。
ロイの技のディスペルはその魔法じゃなく、想像力に介入し、ある範囲の魔法を霧散させてしまう技で、厳密に言うと、魔法ではない。
「えっとな、ロイは体術推薦入学だ」
「なるほど」
ナナが納得したように頷く。
「ロイ、ちょっとこっち来い」
「何?」
二人はナナと少し距離をあける。
「お前、ディスペル使うときは自分に触れた魔法に効果が及ぶにしとけ」
「騒がれるから?」
「かなりな。ナナリアもあんまり使うな。面倒だぞ」
「わかった」
二人はナナの元に戻る。
「何話してたんですか?」
「えーと」
ロイが口ごもる。アレンデはそんな彼を引っ張った。
「秘密だ。じゃあ中にはいるか」
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