王立・アルディナ学園

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階段を上りきり、長い通路にでた。 いくつもの扉が用意されていて、その中で一つだけ作りの違う扉の前にアレンデが止まった。 校長面会室 その扉にはそう書かれたプレートが掛けられていた。 ノックを二度。乾いた音が小さく鳴る。 「失礼します」 アレンデが中に入っていくのに続いてロイも入室する。 「んぉ?おお、アレンデ君か。久しいな。彼は?」 部屋の中には白い髪の毛と髭を伸ばした老人が椅子に深々と座っていた。 「ご無沙汰してます。彼は私の引き受けた例の子です」 「なら、彼がロイウェル君か」 いきなり話にあがったので、何か挨拶をせねばと焦るロイ。 「あーあ。えっとロイウェルです」 「アレンデ君が引き受けた子っていうのと、入学式に遅刻したっていうので有名になっているよ」 ロイは笑いながら言う老人に赤面するしかなかった。 「退学ですかね?」 もうだめなんじゃないかと思いながらロイは恐る恐る聞いた。 「普通なら点が引かれる。ああ、この学園には生徒一人一人持ち点があって、0になると退学じゃ」 老人はなおも笑っているが、目が座っている。 それに、ただただ恐怖を感じるロイ。 「その減点についてですが、少し話をさせてください」 そこでアレンデが口を挟む。 「なんじゃ?」 アレンデはロイの活躍の話をした。ナナを背負いながら戦った事だけ省いて。 「偶然とはいえ、活躍をしたんですから……」 「アレンデ君が言いたいことはわかる」 老人はロイを見据えて言う。 「が、そもそも迷子にならなければ遅刻にはならなかっただろう。 確かにすばらしい働きをしたが、それとこれとは別の話だろうに」 ロイは仕方ないなと、ため息をはいた。 「でもまぁ、アレンデ君の頼みだからの。ロイウェル君の減点は少なめにしておいておこう」 しかし、ここで予想外の展開にロイは目を白黒させる。
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