プロローグ

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赤ん坊の泣き声がする。 暗い部屋の中に男と女が一人。 蝋燭で囲まれた、不可思議な模様の真ん中に裸の赤子が置かれていた。 「成功……?」 「いや、失敗だ」 「なんで?生きてるじゃない!」 泣き声は止まず、部屋の中で何度も反響する。 「感じられないんだよ」 「……でも、生きている」 「失敗作は消さねば」 「あなた!」 女の叫び声。一瞬、静かになる。 蝋燭の火に照らされて女の一部が見えるようになる。 女もまた裸で、その腹には赤ん坊を囲んでいる模様と同じものが描かれていた。 「……」 男が黙る。そして考える。 約束の期限は過ぎた。結果は予想を遙かに下回っている。このままでは……。 「異端者共!ここにいたか!」 「ちっ、正義の使者か!」 男は考えを中断して、裏口を指さした、女は布に何かを書くと赤ん坊にそれを投げ男の指さした方へ走っていく。 「く、いつか消してやるぞ失敗作」 そういい残すと、暗い部屋は静かになった。 泣き声がまた響きだした。 そして……
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