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「ありがとうございます」
「あ。ありがとう、ございます。えーと?」
「ジェナミカ・コーカサン。ジェナ校長と皆に呼ばれておる」
ジェナミカは息を吐きながら鍵を一つ、机の中から取り出しロイに投げた。
それを受け取り、眺める。何の変哲もないふつうの鍵に1108と刻まれていた。
何の鍵か問う前に、アレンデが口を開いた
「寮の鍵ですね」
「ついでじゃからロイを寮に案内してくれんかの」
「わかりました。それではジェナミカ校長。今度また遊びにきますね」
「おぉまたおいで」
アレンデがお辞儀をして部屋を出て行ってしまいそうなのを見て慌てる。
「ジェナ校長。本当にありがとう。失礼します」
ジェナは2人が部屋から出ていった後、椅子に深く座り直し生徒名簿を取り出した。
「ロイウェル君があの時の子か……」
ロイウェルと書かれたページを開くと、備考の欄に数行書き足し。
「今年は荒れそうだーのっと」
用が済んだ名簿を机の上に乱暴に投げ、これからくる何かに思いを巡らせていた。
日が落ちて暗くなり始めた今日という一日が、ジェナミカには輝いて見えた。
「まぁ、まだ時期じゃない。それがくるのはもう少し後のような気がするのう」
ただ自分の中に直感として感じる予感に笑みを浮かべるジェナミカだった。
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