王立・アルディナ学園

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場所は変わって学生寮前。 何練もの寮が並んでいる。一つ一つ違いがあり、木造のものや、石造り、鉄を使って作ったものなど様々。 アルディナ学園は有数の名門校。家柄のある貴族から能力の高い平民まで入学させている。 生徒達は立場相応の寮を与えられる。 「俺はここかー」 一番ランクの低い木造だった。 「お前にかける金はねーし、貴族と一緒って言うのはいやだろ?」 「まぁね」 「それじゃ、ナナと俺はもう帰るぜ。頑張れよ」 「ロイ、がんばってくださいね」 「ありがと、じゃな」 アレンデとナナが居なくなり、ロイ一人が残された。 陽はいつの間にか落ちていて、悠然とした空気にロイは取り残された感じを体に受け止めていた。 「1108か……」 ロイは寮の扉を開き、明るい通路に出た。 「お帰り」 寮を管理している女性が出迎えた。 独特の渋みと暖かみのある柔らかい声だ。 「あーただいま?」 反射的に返事をする。顔はまだ若々しく、少し丸みを帯びている。 笑顔が似合う女性だ。が、突然目が点になる。 「おや、まだ見てない顔だね。入学初日からなにかやらかしたのかい?」 「あ、あははは」 ロイは乾いた笑いを浮かべるしかなかった。 「えっと、お世話になりますロイウェルです」 「マーシス・ヘッドレル。この寮の人からはマーシスおばさんと呼ばれてる。 ロイウェルもそう呼んでくれると嬉しいね」 再び満面の笑みを浮かべるマーシス。 「マーシスおばさん。1108号室ってどこ?」 ロイは鍵を取りだし、マーシスに見せる。 「そのプレートの番号の読み方はね、一階の108号室って意味だよ。この道まっすぐ行けばあるよ」 「なるほど、有難う」 「どう致しまして。お休みロイウェル」 「ロイでいいよ。お休みなさい」 ロイはマーシスと別れるとすぐに108号室に辿り着いた。 プレートが二つかけられていて、それぞれ 『ロイウェル』 『アルレンス・ユノワール』 と書かれていた。 「相部屋なんだ……」 アルレンス・ユノワールとはどういう人だろう。そんな思いに心を弾ませながら、部屋の鍵を開けて入った。
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