王立・アルディナ学園

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「失礼しまーす」 「ん?誰や?」 独特なイントネーションを持った男の声がロイに返事を返した。 「アルレンス・ユノワール?」 整った顔をした髪の短い男が椅子に浅く座って、背もたれに寄りかかっていた。 「そうやけど、もしやロイウェルやな」 「えーとこれからよろしく、アルレンス」 「アルって呼んでくれや。これからながーい付き合いになるんやから、楽にいこうや!」 アルは白い歯を見せて笑う。 「そうか。俺はロイで。よろしくアル」 二人は握手を交わし、笑いあう。 「自己紹介をもう少しやっときたいとこやけど、ロイ、メシ作れるか?」 「ご飯?」 部屋には二人で過ごすには少し広いスペースが確保されていて、台所、便所、シャワールームまで備えられていた。 これで一番ランクの低い寮なら一番上はどうなるんだ? そう疑問に思ったのはロイもアルも一緒だった。 「そうや。その様子やと寮の説明あまり聞いとらんな?自炊なんやで」 「そうなんだ。食材は?」 冷蔵庫を見つけたロイはとりあえず開いてみた。 「近場に安く売っておるよ。その中のは最初から入ってあったわ」 「わかった。買いに行くのめんどいからあるものでいいか?」 「構わんよ。いやぁほんま助かったわ。 これでロイも作れん人やったら簡易料理ばっかになってたとこや」 食材を取りだし、何を作るか考えながら備え付けの包丁を取り出す。 「よし、自己紹介はご飯を食べながらな」 「まっとるわ」 まな板で食材を切る音と共に、夜は更けていく……
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