一日の長いこと

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「こ、こんなことして、ただですむと思うなよ!」 ボロボロになった男たちの一人が叫ぶ。 「思ってない。先に手を出したのは私だ。悪いのは私。 しかし私に手を出させた発言をしたお前達に謝罪する気も無い」 騒がしかったその場が静まる。 カレンジの娘の魔力が高まり、両手にある巨大な火球がよりいっそう大きくなったからだ。 「止めた方が良くないか?先生とか呼んだ方が……」 ロイがアルに囁く。 「喧嘩やもめ事は自己責任やし、そもそもわいも含めこの場にいる野次馬が束になっても止められるか微妙や」 アルの目は据わっていた。 「でもあれ当たったら三人死ぬんじゃない?」 「相殺できれば、ただの火球なら何とかなる。あれは、ただの火球や」 アルそういった途端に炎がうなりをあげ、龍の姿を形を作っていく。 「……。死ぬかもしれんわ」 「……。殺人ありなのここ」 「だめに決まっとるわ!」 「先ほどの言葉。撤回する気になったか?」 「ふん。誰が。力で脅したって無駄さ。殺してみるか?カレンジも大変だなぁ馬鹿な娘を持って」 「……」 「あぁ馬鹿……」 ロイは呟いた 殺気が膨らんできているのに気づかないのか、と。「あぁカレンジが馬鹿だからこんなむぐああああ!」 炎の龍が一人の男を殴り飛ばした。 「うわぁぁぁ!」 それを見て怖じ気ついた二人は逃げだそうとするが、龍に先回りされどうしようもなくなっていた。 「殺しはしないし、立場上出来ない。が、退学覚悟でお前等を半焼半死にしてやる」 半焼半死ってその人生きてない。 誰もが思ったが口には出さなかった。 「わ、わかったわかった。撤回するよ!あの言葉はもう言わない!」 龍に殴られ、顔面が黒く焦げた男が涙目になりながら言う。
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