一日の長いこと

13/29

87人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
学校内部にはいると、大きく張り紙があり新入生は一旦集まるようにと指示がされてあった。 集まる場所に指定された場所に三人は歩いていく。 その間に見かけた多くの生徒。 貧相ななりのものから豪華で派手な装飾品を身につけたものまで多くの者がいた。 「あいつらいけすかんわ」 「私も好きじゃないです。いつも偉そうにしてて……」 とアルとユユの会話を聞きながら、ロイは目の前の女性を見ていた。 黄色い髪と黄色い尻尾を生えた女性だ。耳も人ならざる形をしていた。 何がおもしろいのかずっとにこにこしている。 「……獣人やな」 「なにそれ?」 「わいら人間とは違い魔法が使えへん。そのかわり野生の力と気の力が人間より強いんや」 「たぶんあの人は、推薦ですね」 魔法が使えない人がここに入るには推薦以外方法がない。 推薦には体術推薦。特殊技能推薦。気術推薦がある。 体術推薦はその名の通り、体術が特化されているものが当てはまる。 特殊技能推薦は、一般人が扱えない、才能がいる特別な魔法が使えるものが当てはまる。 気術推薦は、気術に特化しているものが当てはまる。 「……あの人おもしろいなー」 落ち着かない尻尾の動きにロイは目を奪われていた。 その視線に気づいてか、急に立ち止まると後ろを振り向いた。 「いやらしいなー何だよずっとお尻ばっかり見て」 ロイを睨みつける。 「正確には尻尾だけどね」 アルは小さく吹き出した。 なんでそんな落ち着いてられるのか。 獣人相手に少し慌てないのか。 ユユも顔には出さないがアル同様内心どきどきしていた。 ロイはまるで慌てることなく返事をした。 「むぐ……アタシそんな魅力ないかなぁ……てゆーかアタシを見て怖いとか思わないのか?」 「別に?」 表情を次々と変える感情表現豊かな女性に対し、ロイは無表情に首を傾げながらいった。 「後ろの二人は怖いみたいだけど」 「ああああーあたしは別に怖がってないですよ!」 「わいも、怖いちゅーか緊張しておるわ」 「そ、そうです!私も緊張してますです!」 アルとユユを怪しげに観察して、再びロイに向き直る。 「まぁいいや、またね」 「またねー」 ロイの返事を聞いて、片手をふりながらそのまま立ち去っていった。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加