一日の長いこと

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「……私獣人って理不尽で暴力的な野蛮な人って聞いてたけど、全然違いますね」 ユユが言う。 「見た目ほとんど同じなのになー」 その女性は靴を履いておらず、裸足だ。 その足は泥で黒くなり、見た目凄く丈夫そうだ。爪が地面に食い込むように生えていて、歩きやすいようになっている。 「……ほんとおもしろいなー」 獣人の話を詳しく聞きたいなと思ったロイとユユだが、その二人から少し距離をあけてアルが険しい顔をしていた。 「……あの獣人。いや、まさかな……」 「どうした、アル?」 「早く行こうです!」 「ああ、何でもあらへん。行きましょか」 集会所。 滅多にないが、全生徒が集まる必要が出来たときに使う広い場所。 1000人入ってもまだ少しゆとりがある。 ちなみに、アルディナ学園は四年生で、一学年およそ200人程度。 「広いです」 中にはすでに多くの新入生がいた。 すでにグループの勧誘を始めていたり、自己紹介を始めていたりした。 「グループってそんなに大事?」 何気なくロイが口開くと視線が一気にロイに殺到した。 そして開場がざわめき始める。 アルはロイに近づき、小さく耳打ちする。 「大事やでー。グループにはランクづけされて、そのランクが成績に関係するんやからな」 「うわーみんなロイを見てますです」 ざわめきが落ち着はじめると、3人に多くの人が殺到し、同時に質問の雨が降りかかった。 3人はもうグループなのかとか、こっちのグループに入らないかとか、実力はどうだとか。丁寧な言葉で話しかけられた。 貴族までもがロイを勧誘したがった。 止むことの無さそうな質問の雨だが、たった一言。ロイの言い放った言葉であたりが静まりかえった。 「あー俺ディスペル以外の魔法は使えないんだー」 「雑魚じゃん……」 「なんだ使えない」 敬語だった口調はいきなり素っ気なくなり、火照った熱は一気に冷めた。 「なんやと……?」 今に怒り出しそうなアルに気づいたロイはそれを止める。 「気にすんな。相手にしたらきりがないぜ」 周りが見えてないアルは気づかなかったが、ユユは気づいた。 (なんでそんな恐いような悲しいような顔をしてるんですか、ロイ……)
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