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「はっ……はっ……!」
一人、走っていた。十歳くらいだろうか。まだ体も小さく、発育もまだまだの、か弱そうな女の子だ。
「こないで!」
その少女は手から炎を発生させると、自らの後方にそれを放つ。
少女を追いかけるは、二足歩行で迫るトカゲ。ただし大きさは二メートル近くあり、今にも少女を食らおうと口を大きく開けている。
トカゲにその炎が当たると。炎は儚く四散して、なんの影響も与えなかった。
トカゲはおぞましい鳴き声をだし、少女に迫る。
少女は汗を拭いながら、助けを求め走り逃げる。
だが、どれだけ走っても見えてくるのは木々のみ。
次第に増えていく生傷と比例して走る速度も落ちていく。
少女を殺そうと思えば簡単に殺せるであろうトカゲはわざと走る速度を落とし、少女を走らせる
抵抗力を失わせるため。
言葉は持たないが、それくらいの知識は持ち合わせていた。
「もぅ……駄目」
少女はついにその場に足を止め、地に吹つけられるように倒れた。
限界が訪れた
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