一日の長いこと

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「いや、実は今人を捜してるんだ」 「そうか、じゃあ三日後」 ガルシアの瞳から光が消え、死んだ魚の目のように色褪せた。 それくらいやる気がない様子になった。 去っていくガルシアを見てロイは学園にはおもしろい人が多いなと、そう認識した。 「カリキュラムが一つ決まったし、ルルを……」 探そう。と思ったところでロイあの特徴的な髪の色を視界の端で捉えた。 「あー?」 視覚した場所を再び見る。が、見つからない。 「……今見えた気がしたんだけどな」 見間違えたかなと思いつつ、ロイは念のため追いかけた。 一本道を素早く走り抜けていくと、やはりそこにはルルがいた。 但し、一人ではなくて昨晩争いをしていたルルに不意打ちをした男が一緒にあるいていた。 邪険な雰囲気ではあるものの、威圧感は無いので争うためにいるのではないとロイは判断した。 「ルルー」 声をかける。ルルはロイウェルに気づきそれぞれ反応した。 「ロイウェルか。どうした」 ルルはなにやら考えていたのか険しい顔をしていた。 男はロイをみて舌打ちをし、顔を背ける。 「グループの話。良さそうだよ」 表情は一転し、明るくなる。 「本当か助かる」 「そういえば」 男はいつの間にか振り返りロイを睨んでいた。 「えーと?」 「セゼブラス・リーグリングだよロイウェル。そんなに有名な貴族じゃないが聞いたことくらいあるだろ?」 「ああ……」 そのあとに知らないと思いつつ続くが、あえて言わないでおいた。 「んで何か用?」 「お前ルシファーの手下かなんかだろ?」 「貴様」 ルルが嫌な顔をする。 「決闘だ。俺たちとてめーらでな。お前も参加しろ。卑怯なことはしないさ。性に合わないが正々堂々がここのルールなら守って」 言葉を一度切ってから、含みを込めた言い方でセゼブラスは言い放った。 「俺たちの奴隷になれ」 「……はぁ?」 状況を理解できないロイはただそう言うことしかできなかった。
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