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「済まない」
ルルがくらい顔をして頭を下げた。明るい色をした髪も心なしか暗く見える。
「んーまぁいいさ。負けなきゃいいし」
「相手は……」
「昨日の男たちだろ?にしても今日は色々あるなぁ。煮詰まりすぎだぜ」
「三年生だぞ、それも上位の呪術の魔術師……」
その場が凍った。
「私も勝てる自信がない。君が魔法が苦手という話しも風の噂で聞いた。ディスペルが得意らしいが呪術相手では勝ち目がないのだ……」
あきらめ状態のルル。
ロイは驚愕のあまり口を開いたり閉じたりしている。
「どうしよう……」
「本当に巻き込んでしまって済まない……」
ルルから威厳のある女性というレッテルが剥がれつつあり、顔を歪ませている。
「いやそうじゃなくって……」
「?」
しかし、ロイが懸念してるところはそこではない。
三年生に勝ってしまえばそれだけ有名になってしまう……。
そこを心配していた。
「まぁいいやアル達のところに行こうぜ」
「あ、あぁ」
ルルはこれからの事を気にしていないのか、とロイの振る舞い方に憧れに近い怒りを感じていた。
同時にそんな自分に悲しくなっていた。
自身が巻き込んでしまったのだから、ロイにどうこういえる立場にはいない。
(私は……これからの事を考えるだけでこの胸が……)
アル達の元に着くまでの間ルルは戦術を何通りも考えていた。
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