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「ええか?呪術てゆーのはな、言い換えれば苦痛の固まりを体中にばらまく魔法や」
「場合によっては死に至るんですよ?そんなの抱えながらじゃ勝ち目無いです」
ルルは一人悩んでいた。
「じゃあどうするんだ?」
ロイは二人の目線に心苦しさを感じながら聞いた。
しかし二人はその答えがないのか、俯いてしまった。
空気が重くなりつつある中、ルルが口を開いた。
「対処方法は大きく分けて三つある」
「……ほんまか?」
重そうに唇を開き続きを紡ぐ。
「1つは同じ呪術を使い相殺すること。
2つ目は気術での肉体強化と精神力強化。
3つ目は呪術の対象者は必ず単体だ。ロイウェルか私のどちらか先にやられてしまう前に呪術使いを倒す」
一息に言い切り、大きくため息をついた。
「残念ながら私は呪術とは相性が良くないようで基礎しか使えない。
気術も使えないから、どちらかが囮になり短期決戦だ」
「しらへんかった……」
アルが目を開いて呆然としていた。
ユユも見えてきた勝機に小さく笑みを作るが、ルルの表情はいつまで立っても晴れない。
「問題がある。私が標的にされても、魔法使い相手ならロイウェルがすぐに倒してくれるだろう。
しかし、標的がロイウェルなら?」
「魔法使い同士なら詠唱にも魔法の撃ち合いにも時間がかかるです……」
その間にロイウェルが苦痛に耐えきれずに気絶してしまう。そんな予感を隠しきれない三人。
ロイは何食わぬ顔で新しく買ったサンドウィッチを食していた。
「私はこれから時間まで呪術のことを調べようと思う。付け刃だが、何もしないよりましだ」
「昼は?」
立ち上がるルルにロイは声をかける。
「途中で買うさ。後で会おうロイウェル」
そういい残し、ルルは去っていった。
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