一日の長いこと

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「おい!」 「んぁ? なんだあたしの尻尾見てた男か」 「グループに入らないか」 突然の申し出に驚きバランスを崩して落ちそうになった。 「あ、俺ロイウェル」 「普通逆でしょ!」 焦ってバランスを整えた獣人は欠かさず突っ込みを入れた。 「……あたしはウィルスシキンス。長いからウィルでもシキでもいいよ。 でなんであたしを誘ったの?」 「シキって獣人だから珍しいし ロイが答えるとあからさまにシキは嫌そうな顔をした。 「仲間にいたらおもしろいと思うし 「お……おもしろい?」 シキはロイを睨みつけ、いつ殴ってやろうかと考え始めた。 「人数足りてないし、強いだろ」 そこまで言うとシキは頭を冷やし目を細めてロイを見た。 「アタシが強いかどうかわかる?」 シキは半信半疑にロイに疑問を投げかけた。 シキが本来生命体が発している微弱なエネルギーの漏れが無いことに気づいてるかどうか。 「わかる」 ためらいのない返事。気づいている。シキは確信した。 (アタシを面白いとかそういう理由だけなら殴って追い返そうと思ったけど……ロイウェルか) 「駄目か?」 さっきからシキをずっと見ているロイに気づくと慌てて返事を考えはじめた。 「……あー、考えとく」 結局口からでたのは時間をくれという意味を持った言葉だった。 「分かった」 しかし、それを聞けただけで満足できたロイは笑みを浮かべると屋根の上から飛び降りた。 シキはその姿を見えなくなるまで追って、空に目線を移動させた。 数秒後、下がとてもうるさくなったがシキは気にしないことにして昼寝を続けた。 「ろっロイーーー!大丈夫かいなー!?」 「足が……」 「できない事するからです!」 「痺れた……」 「折れたんじゃないのかい!」 アルは思わずつっこんだ。
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