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「じゃあいいよ。別に俺はお金あっても何か買うつもりはないから」
「魔法武器とかいらへんの!?
この学園装備を充実させへんとやってけない依頼もあんやで!」
「ああそれなら」
そこまで言ってロイは口を閉ざした。ナナリアの事を話してもいいか迷ったのだ。
ちなみに、魔法武器というのは、イメージの替わりである魔力を込めた模様を刻み込まれた武器で、魔力を込めれば直ぐに刻まれた魔法を使えるというもの。
利点として、無理して刻まれた魔法を自力で使用するより燃費が良く。魔力を込めるだけなので、自分で使用する魔法と併用できる点だ。
「もしかして、ロイがいつも持ってる短剣は魔法武器なのですか?」
ユユの鋭い指摘が飛ぶ。
「あ、あーこれは、その、うん。ちょっとした武器なんだ。やっぱり魔法武器も買わないと、なぁ、あはは」
苦し紛れ
薄ら笑い
嘘をついた
ロイは三人にこの三つの印象を簡単に与えてしまった。
妙に張り付くような視線を浴びせられ、ロイはたじろぎながら逃げるように食器を片づけていく。
突然シキが首を傾げた。
「あれ……?」
小さく零した声はアルには届いたようで
「なんや?」
と返事をする。せっかくなので自分が気づいたことを、アルに言ってしまおうかと考えたが
「……何でもない」
ロイにはロイなりの事情があるのかも、とも考えて、シキ結局言葉を飲み込みしばらく様子を見ることにした。
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