一日の長いこと

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「ロイウェル」 校舎内。定員である六名にするため再び人捜しをしていたロイ、アル、ユユ。 そのときにばったりルルと会った。 シキは昼寝をしに自分の寮へ戻った。 「ルル。仲間が一人増えたよ」 「その仲間と……勝てれば、な」 言わんとしていることは三人には十分伝わった。 「あと一時間だ。場所は第三模擬試合場だ」 「わかった。じゃあちょっと体動かしてくる。また後でね三人とも」 ロイはさらっと言うとその場を後にした。 「……」 「あの、ルシファーさん?」 「……なんだ」 「お顔が怖いです」 ユユがおそるおそるに言う。ルルは昨晩のように、怒りが今にも弾けてしまいそうな形相をしている。 「……すまない」 ルルは指摘されたことに虚を突かれたように驚きながら、謝った。 「ま、まぁ、気持ちは解らないでもないわ」 アルがフォローするように声をかけるが、緊張で声音が強張って語呂が悪い。 ロイは気にしていないが、ルル・ルシファーという存在は学園では超がつくほどの有名人と変わりないのだ。 成績優秀者、カレンジ・ルシファーの娘。たたそれだけで。 ルルはため息をついて、口を開く。 「私は怖い。いくら修行を積んだからとはいえ、上級生に勝てる気がしない。 のに、ロイウェルはまったく気にしていない。恐怖すら感じていない。諦めているとも違う ロイウェルというのが解らない……」 そう言い残すと、ルルは去っていった。 「私達はどうしますです?」 アルは少し悩んだ後、ゆっくり口を開いた。 「カリキュラムでもみてこんか?」 「それもいいですけど、やっぱりロイウェル見に行きましょうです」 「行き先決まってんならわいに聞くな!」 笑いながらつっこむアル。ユユはそれをほほえみで返すと歩き始めた。
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