決闘する……?

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事実、ロイの予想通り拡声器を握って審判をしているのはガルシアだった。 狙いは勿論ある。 出なければ面倒な決闘審判などめんどくさがりが引き受ける通りがない。 (久々のいい感じの奴だからな。事前に能力を測っておこう) ロイは変な視線に身動ぎをした。 『前置きも要らないなはいすたーと』 先程まで沸きがっていた観客席が急に熱を失い、ヒートアップしていた二人までクールダウンしてしまった。 「……攻撃していいか?」 ルルは思わず聞いてしまった。 「どうぞ」 セゼブラスもなんとか衝撃から立ち直り、戦闘態勢にはいる。 「なら、遠慮はしない!」 最初から全力。アッシの邪魔がいつ入るか解らない。邪魔される前に! 懐から紙を取り出す、一気に魔力を流し込み召喚する。 その紙は魔術的な門となる部分をすでに書き上げておいた紙で、後はエネルギーとなる魔力をこめるだけで。 炎龍の再臨。 散々と揺らめく炎が眩しい。 ルルは急激な力の行使による疲労でふらつきながらも、炎龍を従え、セゼブラスに突撃させる。 観客席からは感嘆の声がこぼれていた。たかが一年生が使えるような魔法じゃないと。 だがそれはセゼブラスも同じだった。 炎龍の回りに無数の水球が現れ、炎龍を押しつぶすように次々にぶつかっていく。 ものの数秒で炎龍は鎮火。水球はいっさい蒸発していない。 「なっ」 流石のルルも昨日とは違いすぎる事態に愕然とする。 「何驚いてる。炎が水に勝てないのは理だろ?蒸発してもまた水にし続けるどうってこと無い魔法だ」 最初の一手をこうもあっさり破られたのは想定外であった。 「……っ」 焦り始めたルルはそれでも気丈に相手を睨みつける。 「まだ手はあるぞ。まだまだ思い上がるには早いぞ!」 声を張り上げ勇気を奮い立たせた。
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