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威圧感に飲み込まれたら終わり。違和感に惑わされたら負ける。
昨日とは違う相手の力の部分を見極めないとやられる。
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「なんかセゼブラスって人昨日とは違って別人のようです」
「……魔具かなんかやと思うやけどなぁ」
二人は顎に手を当てて必死にルルと同じように感じている違和感、セゼブラスの魔力量の変化の謎について考えていた。
「いつでもあの龍を消せる魔力が有るなら昨日も出来たはずですよね」
ルルは焦って気づいていないが、セゼブラスがルルの炎龍を消せたのは、水を使ったからではなく同量の魔力をぶつけたからにすぎない。
魔法という想像から作られたエネルギーの固まりが、たかが小さな水球に消されてしまうなど有り得ない。
この本質に例外も存在するが今はそれではない。
問題はなぜルルが練り上げた魔力を相殺出来るほどの小さな水球を連続で作り上げても尚、『疲れを見せないのか』だ。
ルルですら疲労が見て取れるのに、昨日あっけなく魔法の撃ち合いであっけなく負けるような魔力しかないセゼブラスが平然としているのか。疑問はそこにあった。
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「来ないのかい?」
「まぁ様子見さ」
ルルは挑発には乗るまいと、飛び出しそうになる体を押さえセゼブラスを睨んでいた。
「へぇ、昨日とはずいぶん違うんだね」
しかし、いくら睨まれてもセゼブラスはその余裕の表情を崩さず、微笑を浮かべている。
「じゃあ、少しこっちから攻めようかな?」
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