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水龍がルルの目前まで着たとき、彼女は二枚の紙を取り出し、まず片方の紙に魔力を込める。
「ルシファー式、インフェルノ!」
ルルを中心に波紋を描くように炎の波が、発生した。
しかし
「ハハハッ!なんだそれは!」
セゼブラスが言うように、広範囲に短時間で魔法を発生させたせいか、部分部分の魔力濃度が薄い。水龍に簡単にその一角を破られる。
「まだだ!」
ルルがそう叫ぶと、続けてもう一枚の紙に魔力を込める。
広がってゆく炎が動きを止め、急速にルルの手のひらに収束した!
「ルシファー式灼熱線!」
今度は炎に姿を変えた、超高密度な魔力が一筋の閃光となって口から尾かけて水龍を貫いた。
形を崩された水龍は、水龍を数度形成可能なほどの大量の魔力をその身に宿しながら、体を維持することがかなわず霧散した。
瞬間的に大部分を破壊された水龍は自身を修復することが出来なかった。加え術者の動揺が集中の妨げにもなった。
残った魔力も空気に溶けて消えた。
「ばかな!魔石を用いた水龍だぞ!?」
どんな魔法がきても、自己修復が間に合うと信じて疑わなかったセゼブラスは驚き戸惑った。
しかも、ルルの放った魔法・灼熱線はまだ勢いを失わず迫ってきている。
「くそ!」
セゼブラスが門となる魔法陣が描かれた紙を使わず、体を媒体に先ほど炎龍を打ち消した水球を放つが炎龍と接近スピードが違う熱線を打ち消しきれない。
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