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「ルル!大丈夫か?」
「ロイウェル……くそ、まだだ、まだ……」
ロイはルルの目を見た。
(意識はしっかりしているみたいだけど、目に力が感じられない。これはあれだ、魔法の使いすぎって奴だ)
うろ覚えな自分の記憶を引き出し、ルルの限界を悟る。
どの人間も生命力は殆ど変わらない量を持っている。魔法を使い続け、多少なり自身の生命力の最大値を上昇させることが出来るが、あまり期待は出来ない。
放てる魔力量に差が出るのは、上手く空気中の魔力と自分の生命力を魔力に変換する効率が高い、要するに技術の有無が魔力差を生む。
「僕の魔石が……高かったのに……くそ、やるじゃないかルル・ルシファー」
セゼブラスは恨めしそうにルルを睨む。
魔石はこの世にある便利な道具だ。人から与えられた魔力や、空気中に含まれる微量の魔力を吸収し、そのうちに溜め込むことの出来る鉱物だ。
溜め込む量や、質や色が決まっている。
弱い順に
黒・緑・青・赤・紫・白
だ。
白が一番溜め込むことが可能。
ただし、緑、青、赤、に溜め込む量に差は無い。色の違いは何処から生まれるのかは謎である。
「ルル・ルシファー。君に敬意を表するよ。この紫魔石(ハディア)を壊すなんて。でも」
突然一人で語りだすセゼブラス。
「この決闘では負けない」
そういうと一枚の、水龍を作り出したときのより一回り大きい紙を取り出した。より複雑で高度な門が描かれた紙だ。
「……くそ!」
ルルは動かなくなってきた身体に力を入れてロイの支えを振り払い一人で立つ。
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