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「なんやなんやぁ!?津波に押しつぶされるとおもっとったが、ロイとルルの奴ぴんぴんしてるやないか!」
「それどころか、セゼブラスの奴倒れてるです!」
「満身創痍ってやつやな……」
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「……セゼブラス、終わりだよ。その身体じゃ、集中力が散って魔法が使えないだろ?」
「ぐっ……先輩、すいません」
「いや、驚いたよ。すごい技術が向上してる。技術だけならルル嬢には勝っていたと思うよ」
セゼブラスを倒した。あとは、この呪術師アッシ・ヴォイジャークだけ。
ルルはそう思って、身体に力を込めて、もう一踏ん張り。
(あれ……?)
しかし体には力がこもらずに、次第に目の前が暗くなる。前で粉々に砕けて、柄だけになった剣を持っているロイがどんどん遠くなる。
瞑りたくなような意心地と、その逆の気持ち悪い感情に支配されながらもロイへと手を伸ばす。
それは空を切って、身体が地面と水平になったのがルルにはわかった。
しかし、背中への衝撃はいつまでたっても来ない。
ただ、暖かい。
「……ルル、次は俺かな。アッシ、先輩?」
「……」
同じく自分のパートナーであるセゼブラスの意識がなくなったのを確認し、優しく地面へと寝かす。
そして不適に笑うとアッシは――――
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