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ルルが最初に見たのは、白い天井だった。
「む、起きたみたいやで?」
「あ、本当?」
「はっ!? 決闘は!? どうなった?」
「と、とりあえず落ち着いてくださいです」
ロイは慌てているルルとユユの間に割って入り、決闘の結果を告げた。
引き分けだと。
なぜ引き分けになったのか。アッシにお情けでも貰ったのかと、考えたルルは苦い顔をしたが、ロイが引き分けの理由を告げたとたんに唖然とした表情を浮かべた。
アッシ曰く。
「いやぁさ、二人とも気絶しちゃったし、僕らもうたたかわなくてもいいよね?
僕疲れるの嫌いだし、ほら、やっぱ後輩の前ではいい顔したいからね? 僕ら戦うのやめない?」
と、ロイに近づいて耳打ちしたのだ。ロイはアッシと戦う理由もないし、目立たないいいチャンスだった。
その提案を快諾、引き分け。めでたしめでたし。
「アッシという男。残忍な魔法を多く使うと聞くから、正確もその魔法の特性に沿っているものだと思っていた」
「後からわいも聞いたけど、そうらしいのや。危なかったな。ええ先輩やないか」
「あ、ああ。そうだね」
四人は朗らかに笑いあい、決闘事件に幕が降りた。気づけば外は夕方で、人も疎らなってチームメイト集めにはならなくなった。
しかし、決闘は、引き分けになった。さらに、ルルとセゼブラスの対決も引き分けなので、無論賭けは無効。
晴れて、ルルはロイたちのチームメイトになった。
セゼブラス自身も満足いった結果ではないが、やはりアッシの力を借りた勝利など、完全な自身の勝利ではないと言うことで、激しい言い合いは避けた。また決闘を仕掛けてやる。と告げて去っていった。
「私は逃げんぞ」
「あ、俺も逃げないからなー」
「……あいつ、思ったより見上げた奴じゃないか。器が小さいくだらない人間だと思っていたよ」
「うーん、確かに」
悪口を言って、相手を怒らせ、不意打ちをし、謝らない。最低の人間の部類だが、セゼブラスの誇り高いプライドは本物だった。
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