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「どうしはる、ロイさんよ」
「どーって、もう諦めて自動加入してる人と仲良くなればいいかなぁって思ってる」
「私もそれで良いと思いますです。無理して人探すのもよくないと思いますです」
「あ、そういえば俺授業の見学が今日出来るとかガルシア先生が言ってたな」
手を叩いて、ブルーな雰囲気を払拭した。
「体術系やったか?」
アルもチーム探しを諦めて、気分を切り替えた。別な話を行うことで気を紛らわすことにした。
「総合体術学科。一つだけでもいいんだよな」
「そうです。でも、三つまで取れるから取ったほうがいいです。せっかくの学び場なんですよ。基本依頼をこなして自己を高める自由軍隊とか、国家軍隊に入ってしまうと、まともな師匠も取れないみたいです」
「そうやで。魔法使えないなら、嫌でも魔法学科一つ取っといたらどうや? 途中からでもええが、それだと授業についてけなくなるで」
あれこれ指摘されたロイは、やや硬い表情で「う~ん」と溢す。
「考えておくよ。とりあえず見学行ってきまーす」
「あ、あいつ逃げおったな」
アルの指摘どおり、その場から逃げるようにロイは総合体術学科場所へ逃げていった。
「あ、解散? あたいも帰っていい?」
「ウィルスシキ」
「だーかーらー」
「なら、私もルルと呼べ」
「る……ルシファー」
「何故だ!?」
「だー! うるさい、いいじゃん!」
まだ名前の呼び方で言い合いを続けている。
「……なんで、あんな頑なに名前の呼び方で言い争ってるんです?」
「それはな、貴族と獣人という間柄やからな」
アルが、苦笑いを浮かべながら言った。その台詞に聞いてはいけないことを聞いてしまったのかもと、表情を硬くするが。
「でも、あの二人をみてみー。貴族っぽくない貴族と、貴族ではなく、一人の人間として扱ってくれる獣人や。昨日はどうなることかと思ったが、仲良さそうで良かったわ」
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